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2026年11月05日
IPO-COLUMN-

エクイティファイナンスとは? IPOを目指すスタートアップの資金調達とエグジット戦略 ベンチャー企業、スタートアップ企業の資金調達とエグジットの方法

2026年11月5日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

1.はじめに

IPOを目指す企業にとって、資金調達は成長を左右する重要なステップです。近年では、新株予約権付融資(ベンチャーデット)に代表される、スタートアップの特性に合わせて設計されたデットファイナンスの活用も広がりつつあります。もっとも、担保となる資産や過去の実績に乏しい成長段階の企業にとって、資金調達の主軸が依然としてエクイティファイナンスであることに変わりはなく、スタートアップ企業にとっての生命線と言っても過言ではありません。

本コラムでは、エクイティファイナンスとデットファイナンスの違い、スタートアップ企業におけるエクイティファイナンスの意義、そしてエグジット(投下資本を回収する出口戦略)に関するポイントを解説します。


2.エクイティファイナンスとデッドファイナンス

(1)エクイティファイナンスの特徴

エクイティファイナンスは、新株発行などにより株式と引き換えに資金を調達する方法で、資本を提供する投資家は株主として企業の成長に参加します。返済義務のない資金調達方法であり、調達した資金は自己資本となるため、財務リスクを軽減し、財務基盤の強化にもつながります。その一方で、企業は株主の期待に応える必要があります。
通常、スタートアップ企業へ投資を行う投資家は、高い利益率(リターン)を期待しています。

また、株式を発行するため、通常は投資家が議決権を得ることで経営に対する発言力を持ちます。あわせて、新株の発行により既存株主の持株比率が低下する、いわゆる希薄化(ダイリューション)が生じる点にも留意が必要です。
外部の株主が加わることを煩わしいと思うことがあるかもしれませんが、外部の目が入るということは、経営戦略を客観的に評価してもらえるということでもありますので、メリットでもあります。

(2)デッドファイナンスとの比較

デットファイナンスは、金融機関からの借入や社債の発行により資金を調達する方法で、元本の返済義務と利息の支払いが伴います。
エクイティファイナンスと比較すると、株式を発行しないため持株比率や経営権に影響を与えない点、支払利息が原則として損金(税務上の費用)となる点がメリットですが、返済負担が企業の財務体質を圧迫する可能性があります。

また、近年広がっているベンチャーデットは、無担保での融資に新株予約権(ワラント)の発行を組み合わせるなど、スタートアップの成長性を前提に設計された融資です。もっとも、通常の銀行融資と比べて金利等の負担が重くなりやすいこと、新株予約権が行使されれば結局は持株比率の希薄化が生じること、直近のエクイティ調達実績や投資家の支援状況が実質的な前提とされる場合が多いことなど、留意すべき点もあります。

なお、実務ではどちらか一方に限る必要はなく、成長段階や資金使途に応じて両者を組み合わせることも有効です。


3.スタートアップ企業にとってのエクイティファイナンス

(1)成長資金の確保

スタートアップ企業にとって、エクイティファイナンスは成長資金を確保するための重要な手段です。一般的にスタートアップ企業は設立後間もないことから、過去の実績や担保となる資産に乏しく、返済を前提とするデットファイナンスとの相性が良くありません。
デットファイナンスにより資金調達を行うスタートアップ企業も存在しますが、高い成長性が武器となるスタートアップ企業にとっては、返済に縛られない資金を先行投資に充てられるエクイティファイナンスとの相性が良いと言えるでしょう。
企業はこれらの資金を活用して、新規事業の開発、人材の採用、市場拡大などを図ることができます。

(2)投資家とのパートナーシップ

エクイティファイナンスを通じて出会う投資家は、単なる資金提供者ではなく、企業の成長をサポートするパートナーとしての役割も果たします。特にベンチャーキャピタル(VC)は、経営に関する助言、取引先や人材の紹介、次の資金調達ラウンドにおける投資家の紹介など、資金面以外の支援を行うことも多くあります。彼らのネットワークや経験を活用することで、スタートアップ企業のさらなる成長に役立てることができます。


4.エグジットについて

筆者がIPO実務に携わる中でも、エクイティファイナンスで調達した資金を、返済義務のない「もらったお金」と捉えているケースが見受けられますが、その考えは改める必要があります。
出資者はIPOなどを始めとした投下資本の回収を狙って投資を行っているのであり、企業側もそのエグジット(投下資本をどのように回収するかの出口戦略)を意識しなければなりません。実務では、投資契約や種類株式(優先株式)の設計を通じて、エグジット時の取り扱いがあらかじめ定められることも一般的です。
ここでは、代表的なエグジットの方法を解説します。

(1)IPO(新規株式公開)

IPOは、エクイティファイナンスの代表的なエグジット戦略の一つです。
投資フェーズや上場時の株式市況にもよりますが、通常は高い利益率を確保することができます。その反面、上場審査への対応や監査法人による会計監査、内部管理体制の整備が求められ、達成までに数年単位の準備期間を要することも特徴です。
IPOは投資家にとって資金回収の機会であると共に、企業にとっては知名度や信用力の向上を伴う、新たな成長フェーズへの移行でもあります。

(2)M&Aとの比較

スタートアップ企業のエグジット戦略には、IPOの他にM&A(合併・買収)もあります。
M&Aは、自社の株式を他社に譲渡することで資金を回収できる手段であり、IPOと比較して迅速に実行できることが特徴です。近年は国内でも、M&Aによるエグジットを選択する事例が増えつつあります。

しかし、それは当然、買い手との間で合意ができることが前提です。買い手によっては、デューデリジェンス(買収に先立つ企業調査)を始めとした調査や条件交渉を伴いますので、成立までの期間が比較的短いというだけで、一定の期間は要します。

また、M&Aでは株式を100%取得されるケースが多く、そのような場合、最上位の意思決定機関である株主総会を構成する株主としての立場は無くなります。


5.終わりに

エクイティファイナンスは、IPOを目指す企業にとって強力な成長の推進力となります。むしろ、現在のスタートアップ企業にとって、エクイティファイナンスによる資金調達は成長の前提条件であると言っても過言ではありません。その成功には、戦略的な資金調達と、投資家との信頼関係の構築が欠かせません。本コラムが、資金調達やエグジットをご検討中の皆様のお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。


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初回ご相談時の報酬は頂いておりませんので、お気軽にお問い合わせください。

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