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2026年08月26日
企業会計-COLUMN-

新規に子会社株式を取得した場合のキャッシュ・フロー計算書の作成方法

2026年8月26日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

1.はじめに

M&Aが成長戦略として定着し、新たに子会社を取得する会社は数多く存在します。
子会社を取得すると、基本的にはその子会社が連結の範囲に加わりますが、連結の範囲に新たな企業が加わる場合の連結キャッシュ・フロー計算書上の取扱いは、頻繁にM&Aを行う会社でなければ馴染みが薄く、処理に迷う方も少なくありません。

本コラムでは、連結キャッシュ・フロー計算書の概要から、新規に取得した子会社が連結の範囲に含まれる場合の具体的な処理までを解説します。なお、子会社の新規設立や、非連結子会社の重要性が増したことにより連結の範囲に含める場合は、取扱いが異なるため本コラムでは扱いません。


2.連結キャッシュ・フロー計算書とは

連結キャッシュ・フロー計算書は、親会社とその子会社を含む企業グループ全体の資金の流れをまとめた報告書です。営業活動・投資活動・財務活動の三つの区分により資金の動きを明らかにし、損益計算書だけでは把握できないキャッシュの増減を示すことを目的としています。新規子会社が連結の範囲に加わると、グループの資金の前提そのものが変わるため、その期の連結キャッシュ・フロー計算書では特有の調整が必要となります。

ここでいう「キャッシュ(資金)」とは、現金及び現金同等物を指します。現金には手許現金のほか、普通預金や当座預金などの要求払預金が含まれます。現金同等物には、容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資が含まれます。本コラムでは、以降、この現金及び現金同等物をまとめて「キャッシュ」と呼びます。


3.連結キャッシュ・フロー計算書の取り込み開始時

新規の連結子会社のキャッシュ・フローは、その取得日(連結開始日)以降のキャッシュ・フローを連結キャッシュ・フロー計算書に取り込みます。取得日より前の期間のキャッシュ・フローは、子会社がグループの一員となる前のものですので、連結には含めません。

なお、株式の取得日が子会社の決算日と異なる場合には、通常、その前後いずれかの決算日(四半期の末日を含みます)に取得したものとみなして処理します。この基準となる日を「みなし取得日」といいます。

連結を開始した年度の翌年以降については、通常の連結キャッシュ・フロー計算書の作成方法と大きく異なる点はありません。以降では、連結開始の期に必要となる調整を解説します。


4.新規連結子会社取得時のキャッシュの取扱い

株式の取得によって子会社を新たに連結する場合、キャッシュには二つの動きがあります。一つは、子会社株式を取得するためにグループ外へ支払ったキャッシュの減少(キャッシュ・アウト)であり、もう一つは、取得した子会社が保有していたキャッシュがグループのキャッシュに加わることによる増加(キャッシュ・イン)です。連結キャッシュ・フロー計算書では、この二つを別々に表示するのではなく、両者を相殺した純額で表示する点に特徴があります。

(1)子会社株式の取得(キャッシュ・アウト)

M&Aなどで子会社株式を取得する場合、株式の取得に要した資金がグループ外へ流出します。
この支出は企業グループの投資活動として行われるものですので、「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に属します。

(2)新規子会社の所有していたキャッシュの増加(キャッシュ・イン)

一方、取得した子会社が保有していた現金及び現金同等物は、連結により企業グループのキャッシュに含まれることとなります。グループ全体でみれば、子会社の保有資金の分だけキャッシュが増加します。
前述の「みなし取得日」を採用する場合、あくまで連結財務諸表に取り込まれるのはこのみなし取得日以降となりますので、みなし取得日に所有するキャッシュが対象となります。

株式の取得により子会社を連結する場合、上記(1)の株式取得に要した支出額から、(2)の子会社が連結開始時に保有していた現金及び現金同等物の額を控除し、その差額(純額)を「投資活動によるキャッシュ・フロー」の区分に独立の項目として表示します。科目名は「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」などとされます。

差額の符号によって、表示は次のように分かれます。

株式の取得に要した額 > 子会社が保有していたキャッシュ … 純額を「支出」として表示します。
株式の取得に要した額 < 子会社が保有していたキャッシュ … 純額を「収入」として表示します(項目名は「〜取得による収入」となります)。

なお、非連結子会社の重要性が増したことにより連結の範囲に含める場合は、株式の取得を伴わないため取扱いが異なり、子会社のキャッシュを現金及び現金同等物の期首残高に加算する形で処理しますが、本コラムでの詳細な解説は割愛します。


5.終わりに

連結キャッシュ・フロー計算書の作成は上場会社などに義務付けられていますが、新規の子会社取得は、一部の会社を除き頻繁に生じるものではありません。

そのため、いざ取得があった際に処理に迷うことがあると思いますが、取扱いはあらかじめ定められていますので、慌てる必要はありません。株式取得による子会社のキャッシュ・フローは、株式取得の支出と子会社の保有資金とを相殺した純額で、投資活動の区分に表示するという基本を押さえておくことが大切です。本コラムが皆様の実務の一助となれば幸いです。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。


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初回ご相談時の報酬は頂いておりませんので、お気軽にお問い合わせください。

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