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2025年04月21日
税務会計-COLUMN-

貸付金(借入金)の利息は何故源泉徴収されない? 源泉徴収の対象となる利子とならない利子

2025年4月21日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

1.はじめに

通常、銀行など金融機関からの利息は、源泉徴収されたうえで入金されているのはご存知の方も多いと思いますが、一方、企業や個人間の借入金を通じて支払われる利息について、源泉徴収が行われない理由をご存知でしょうか。
同じ「利息」でも、このような取り扱いの違いが生じるのはなぜなのか、本コラムではその理由と、利子所得の源泉徴収事務の概要について解説します。


2.利子所得に対する源泉徴収とは

利子所得は、十種類ある所得のうちの一つであり、主に預貯金や公社債などから生じる利息が該当します。これらの利子所得のうち、一定のものについては、その利子を支払う段階で源泉徴収される仕組みとなっており、支払者が所得税をあらかじめ天引きし、納税者の代わりに納付を行います。


3.源泉徴収事務対象となる利息

利子所得に対する源泉徴収の対象となる利息については、国税庁より公表されている「利子所得の源泉徴収事務」に列挙されています。
これによれば、具体的に以下のような利息が対象となっています。

  • 公債や社債の利子:

国・地方公共団体が発行する公債の利子や、会社法等に基づき発行された社債を対象としています。

  • 預貯金の利子:

銀行や信用金庫、労働金庫、農協など金融機関に預けた預貯金から発生する利息を対象としています。

  • 信託による利息:

主に貸付信託や公社債投資信託の収益分配などを対象としています。

これらの利息については、原則として源泉徴収事務の対象となります。


4.借入金(貸付金)の源泉徴収事務

前述の通り、預貯金の利息が源泉徴収の対象とされる一方、個人(本解説では自然人を個人と呼称します)または法人が金銭消費賃貸借契約等によって貸付(借入)を行った場合であっても、その利息を受け取る(支払う)場合には、源泉徴収は行われません。
貸付金の利息を受け取る場合、法人の場合所得区分は関係ありませんが、個人が受け取る場合、その利息は利子所得ではなく、事業所得又は雑所得に区分されることとなります。
すなわち、所得税法上、貸付金から生じる利息は利子所得として扱われていないのです。


5.終わりに

同じ「利息」という名称でも、その支払主体や資金の性質によって、税務上の扱いは異なります。
会計上は受取利息という同じ勘定科目で処理されることとなりますが、銀行などの金融機関が支払う預貯金の利息は、明確に「利子所得」として定義され源泉徴収が義務付けられている一方、貸付金に対する利息は、通常は「雑所得」や「事業所得」となり、源泉徴収の対象とはなりません。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。


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初回ご相談時に報酬は頂いておりませんので、お気軽にお問い合わせください。

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