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2024年09月25日
COLUMN

事業譲渡で譲り受けた固定資産の取り扱い 事業譲渡、固定資産、減価償却方法、耐用年数

2024年9月25日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

 

1.はじめに

事業譲渡によって固定資産を受け入れた場合、その固定資産がどのように取り扱われるかご存知でしょうか。
事業譲渡は特定の資産だけでなく、複数の資産や負債をまとめて取得するのが一般的であり、実務上の取り扱いについて悩まれている方もいらっしゃると思います。
本コラムでは、事業譲渡によって受け入れた固定資産の取り扱いについて、特に取得価額、減価償却の方法に焦点を当てて解説します。なお、本コラムは譲渡側ではなく、譲受側での取り扱いを中心に解説を行っています。

2.取得価額の取り扱いについて

事業譲渡は会社分割と異なり、組織再編には該当せず、個別の売買契約の延長にあるものと考えられます。
そのため、通常の固定資産の取得と変わらず、取得金額に付随費用等を加算したものが取得価額となります。ただし、事業譲渡契約上、個々の資産の金額が明確になっていない場合には、個々の資産の時価に応じて金額を振り分けて計算が必要となります。
例えば、事業譲渡契約上は「建物」や「機械装置」のように勘定科目は分かれていたとしても、現物の固定資産はもっと細かく分かれています。管理上も除売却があった場合等、個別の資産との対応関係は必要ですので、可能な限り該当事業の固定資産台帳等を入手するなど、事業譲渡前に個々の資産を特定できるようにしておくことも重要です。

また、事業譲渡で譲り受けた資産は、取得した固定資産は既に使用されていたものであるため、「中古資産」にあたるという点も注意しましょう。

3.少額減価償却資産と一括償却資産

事業譲渡で譲り受けた資産についても、通常の固定資産の取得と同様、少額減価償却資産や、一括償却資産の取り扱いを適用することが可能です。

(1)少額減価償却資産の取り扱い

事業譲渡で取得した固定資産が10万円未満の場合、全額損金計上が可能な少額減価償却資産として扱うことができます。

(2)一括償却資産の取り扱い

取得価額が20万円未満であれば、一括償却資産として処理可能です。
少額減価償却資産と同様、事業譲渡によって取得した固定資産においても、取得価額が20万円未満であれば、この処理が適用されます。

4.耐用年数の取り扱いについて

事業譲渡で譲り受けた固定資産は、中古資産として扱われ、中古耐用年数が適用できます。なお、中古耐用年数の見積が困難な場合には、簡便法を適用することとなります。
具体的には、法定耐用年数の全部を経過している場合、法定耐用年数の20%を使用します。法定耐用年数の一部を経過している場合は、未経過年数に経過年数の20%※を加算する方法によって年数を算出します。

※中古資産の耐用年数:(法定耐用年数-経過年数)+経過年数+20%

5.最後に

事業譲渡により受け入れた固定資産の取り扱いは、個々の固定資産の帳簿価格を確定すること、「中古資産」の「取得」として取り扱われる点に注意が必要です。
これらの会計処理は業績や課税所得の計算に影響を与えるため、上記のポイントを踏まえ、適切な会計処理を行うようにしましょう。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。

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