ホームページ(HP)の除却(廃却)のタイミングいつなのか? HPの閉鎖、休止と除却、減価償却の関係
2025年3月24日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼
1.はじめに
最近では企業がホームページ(HP)を制作する目的や機能は多岐に渡り、その制作金額が多額に上るケースも珍しくありません。このような追加機能を持つホームページは資産計上の対象となることがあり、一度資産計上してしまえば、いつの時点で除却や廃却が行われる時点はいつなのでしょうか。
しかし、この形のない資産であるホームページが除却されるとはどのような場合をいうのでしょうか。
本コラムでは、ホームページを資産計上している場合における除却時期に関する基本的な考え方を考察、解説します。
2.ホームページ(HP)を資産計上するケース
ホームページは多くの場合、広報目的で制作されており、広告宣伝費として費用処理されているケースも多いでしょう。
反対に資産計上されるのは、基本的に長期間使用されるもので、且つ、金額的な重要性が高い、追加的な機能を持っていたりするケースが該当します。
要するに、単純な広告宣伝の能力を超えた「ソフトウェア」と判断されるケースは資産計上対象となるのです。
このソフトウェアに資産計上する必要があるか否かは個別案件ごとに総合的な判断が求められますが、通常は以下の要素を全て満たす場合にはソフトウェア計上が必要です。
(1)長時間使用
ホームページを使用する期間が一年間以上である場合が該当します。
例えば、キャンペーン期間が一か月の特別告知用の特設ぺージのように明らかに1年未満しか使わないホームページは費用計上が妥当でしょう。反対に使用期間が明確でない場合はホームページの使用期間は長期になりやすいという蓋然性から資産計上の要件を満たす可能性が高いと言えるでしょう。
(2)金額的重要性
税務上の固定資産計上基準を超えている場合が該当します。
具体的には、10万円未満は費用計上可能であり、反対に10万円を超える場合には資産計上となります。
ただし、中小企業者に該当する場合には、30万円以下を少額減価償却資産として費用計上することも可能であったり、固定資産の計上には複数のルールがありますので注意が必要です。
(3)追加機能の有無
単純な情報発信を行う広報機能しかない場合、広告宣伝費として費用計上すべきですが、ECサイト機能や、セキュリティ管理機能など、一般的な広告宣伝を超えた機能(ソフトウェアとしての側面)を持っている場合には資産計上が必要です。
最近のホームページの機能は多岐に渡り、個別案件ごとに対象となる昨日がソフトウェアに該当するか否か判定を行うことが必要です。
なお、ホームページの取得価額や使用期間によっては、一括償却資産などのソフトウェア以外の勘定科目で資産計上される可能性もありますが、以下の解説ではソフトウェア勘定科目を前提として解説を行っています。
3.ホームページ(HP)の除却に該当する場合
ホームページについても、ソフトウェアの除却に関する基準に照らし、今後事業に使われないことが明白な場合には、除却が認められるものと思われます。
ホームページの除却を検討するケースとして、まず考慮すべきはホームページの閉鎖です。
しかし、ホームぺージは閉鎖をしたとしても、追加機能はプログラムとして他に転用が可能であるケースや、そもそもホームページ自体も容易に再稼働が可能であるケースは多いです。
そのため、単にホームページを閉鎖したというだけでは、資産の除却として認められない可能性がある点には注意が必要です。
将来的に使用する可能性が無いことを説明できるようにしておくのが良いでしょう。
一例ではありますが、ホームページを除却する際には、閉鎖に加え以下のような客観的事実を満たしていることが望ましいでしょう。
- 特定業務のためのホームページについて、対象事業の撤退が決まっている場合
- 新たなホームぺージを作成し、以前のホームぺージを使用しないことが明白な場合
- システム上の欠陥が見つかり修復不能な場合
- コンピュータウイルスの感染等で再稼働を行うことに重大なリスクがある場合
4.ホームページ(HP)を休止する場合
ホームページは閉鎖をする以外にもその運用を休止(一時停止)することがあります。
この点、メンテナンス等の短期的な休止では除却に該当することは無いと思いますが、再開予定が未定な長期間の休止を行う場合の会計処理はどうなるでしょうか。
なお、休止と閉鎖の境は非常に曖昧ですが、ここではあくまで企業側に再開の意思の有無で区分しています。
この場合、基本的にはホームページ(及び追加機能)を再稼働できる状況にある限り、除却には該当しないものと思われます。
別の側面から、有休資産に該当する可能性が高く、企業会計上は減損検討が必要になる点に注意が必要です。
税務会計上はホームページの減価償却を止めるのが原則的取扱いですが、再稼働が可能なのであれば、減価償却費の計上は認められるものと思われます。
5.終わりに
ホームページ(HP)を持つことは今や当たり前の時代になっていますが、その機能には幅があることから会計処理を悩まれるケースは多いと思います。
有形固定資産を捨てる場合には手元から対象の資産がなくなるため分かりやすいですが、無形資産であるホームページはそういきません。
ホームページをどのような場合に除却処理するか、このコラムがその判断の一助になれば幸いです。
当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。
弊事務所では、企業会計(財務会計)に関する支援業務を幅広く提供しております。
初回ご相談時に報酬は頂いておりませんので、お気軽にお問い合わせください。