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2026年06月29日
企業会計-COLUMN-

一括償却資産は取得時は費用処理?資産計上?固定資産台帳での扱いは? 一括償却資産に関する実務の整理

2026年6月29日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

一括償却資産は、パソコン、周辺機器、備品など比較的高額になりにくい資産を購入した際に実務上よく出てくる処理方法(税務上の簡便的な方法)です。

この点、一括償却資産の会計処理について取得時に「消耗品費などで費用処理してよいのか」「資産計上すべきなのか」「固定資産台帳に登録する必要があるのか」などの質問を受けることがあります。実際に、会計処理方法は取得時に費用処理する方法と資産計上する方法のいずれも見られるため、処理方法と申告内容を整理しておくことが重要です。

本コラムでは、一括償却資産について、取得時の費用処理と資産計上の考え方、税務申告での注意点、固定資産台帳への登録の要否、償却資産申告との関係を実務目線で整理します。


一括償却資産とは、実務上、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産について適用が可能な税務上の簡便的な処理方法です。
ここでいう減価償却資産とは、事業のために使用する建物附属設備、機械、工具、器具、備品、ソフトウェアなど、使用期間が1年以上に及ぶ資産を指します。

取得価額が10万円未満の資産や、使用可能期間が1年未満の資産は、通常、少額の減価償却資産として取得時に損金算入する処理が検討されます。一方、10万円以上20万円未満の資産については、取得時に全額損金算入するのではなく、一括償却資産として処理するケースが実務上多く見られます。

そのため、一括償却資産の検討では、まず取得価額が10万円以上20万円未満であるか、事業のために使用する減価償却資産であるかを確認することが出発点になります。

一括償却資産として処理する場合、その取得価額は3年間で均等に損金算入します。たとえば18万円の備品を一括償却資産として処理する場合、税務上は原則として各年度6万円ずつ損金算入することになります。

通常の減価償却では、資産の種類ごとに定められた耐用年数に基づいて償却費を計算します。これに対して一括償却資産は、個々の資産ごとの耐用年数ではなく、3年間で均等に費用化する点に特徴があります。

また、一括償却資産については、途中で除却や売却があった場合でも、原則として3年間の均等処理を継続します。通常の固定資産であれば除却時に未償却残高を費用処理することがありますが、一括償却資産については税務上の取扱いが異なるため注意が必要です。


① 実務上採用される理由

一括償却資産については、取得時に消耗品費、備品費、事務用品費などの費用科目で処理する方法があります。

この方法は、取得時の会計処理を簡潔にしつつ、税務申告上は一括償却資産として扱う方法です。
一括償却資産は、税務申告上は3年間で均等に損金算入する資産ですが、通常の固定資産のように個々の資産ごとに耐用年数を設定して毎期償却計算を行うものではありません。極端にいえば、申告上はその会計期間に取得した一括償却資産の合計額を把握できれば、3年間の均等損金算入額を計算できます。

そのため、取得時に費用処理する方法を選択する場合、勘定科目や補助科目で一括償却資産を判別できるようにしておくことをお勧めします。たとえば「消耗品費」の中に「一括償却資産」という補助科目を設ける、摘要欄に「一括償却」と記載する等の方法が考えられます。

仕訳例は次のとおりです。

(消耗品費※)180,000/(普通預金)180,000

※消耗品費に「一括償却資産」のような補助科目を設定し、申告調整が必要な金額を把握しやすくしておくと申告調整が円滑になります。

② 申告調整の必要性

取得時に会計上全額を費用処理した場合でも、税務上、一括償却資産として扱うのであれば、取得年度に全額を損金算入することはできません。税務上は3年間で均等に損金算入するため、会計上の費用計上額と税務上の損金算入額に差額が生じます。

たとえば18万円の備品を取得時に消耗品費で処理した場合、会計上は18万円が費用となります。一方、税務上の損金算入額は原則として6万円です。そのため、法人税申告書では12万円を加算し、翌期以降に6万円ずつ減算する調整が必要になります。
翌期以降、損金不算入とした額を認容(損金算入)していきます。

③ 企業会計適用の場合、税効果会計の必要性

企業会計に基づき、税効果会計の適用が必要な会社では、取得時に費用処理した一括償却資産について、税効果会計の検討が必要になります。税効果会計とは、会計上の利益と税務上の所得の認識時期が異なる場合に、その差額に係る税金の影響を会計上調整する処理をいいます。

取得時に会計上は全額費用処理し、税務上は3年間で損金算入する場合、取得年度には会計上の費用が税務上の損金より大きくなります。ただし、翌期以降に税務上の損金算入額が生じるため、通常は将来減算一時差異として税効果会計の対象になります。

もっとも、金額的重要性が乏しい場合には、会社の会計方針や監査上の判断により、簡便的な取扱いが検討されることもあります。税効果会計を適用している会社では、一括償却資産の金額規模や継続的な発生状況を踏まえて判断することが必要です。

① 資産計上するケース

一括償却資産については、取得時に資産計上する方法もあります。
この場合、勘定科目としては、資産の内容に応じて工具器具備品などの固定資産科目を使用することもあれば、そのまま「一括償却資産」などの科目や補助科目を設けて管理する場合も見受けられます。

仕訳例は次のとおりです。

(一括償却資産)180,000/(普通預金)180,000

その後、会計上も3年間で均等に償却する場合には、決算時に次のような仕訳を行います。

(減価償却費)60,000/(減価償却累計額)60,000

または、直接控除法を採用している場合には次のように処理します。 (減価償却費)60,000/(一括償却資産)60,000

② 会計上の資産残高と税務上の償却残高を整合させられる点

資産計上する方法のメリットは、会計上の貸借対照表残高と、税務上の一括償却資産の未償却残高を整合させやすい点です。たとえば18万円の資産を3年間で償却する場合、1年目終了時の会計上の未償却残高は12万円、税務上の未償却相当額も12万円になります。会計上も税務上も同じ期間で費用化するため、残高管理が直感的に分かりやすくなります。

特に、固定資産管理ソフトや会計ソフトで一括償却資産の区分管理ができる場合には、資産計上して固定資産台帳で管理する方法が実務上使いやすいことがあります。

③ 企業会計を適用していても税効果会計の対象とはならない

取得時に資産計上し、会計上も税務上と同じく3年間で均等に償却する場合、会計上の費用計上額と税務上の損金算入額が一致します。この場合、会計上の資産残高と税務上の未償却残高に差額が生じないため、通常、税効果会計の対象にはなりません。

ただし、会計上は別の耐用年数で償却している、税務上のみ一括償却資産として申告しているなど、会計と税務で償却方法が異なる場合には差額が発生します。その場合には、税効果会計の検討が必要になることがあります。


一括償却資産の取得時の会計処理については、実務上、費用処理する方法も、資産計上する方法もあり得ます。改めて簡単に各方法を比較すると以下のようになります。

費用処理は、会計帳簿上の処理が簡易です。特に、少額資産が多く発生する会社では、費用科目や補助科目で一括償却資産を把握し、税務申告時に必要な調整を行う運用が考えられます。

一方、資産計上は、経済実態や貸借対照表残高と固定資産台帳の整合性を重視する会社に向いています。企業会計の適用が必要な場合、こちらを推奨します(ただし判断には重要性を加味します)。
会計上も3年間で償却する場合には、税務上の一括償却資産の償却額と一致させやすく、残高管理がしやすい点もメリットとして挙げられます。

重要なのは、どちらの方法を採用するかについて社内で方針を決め、継続して運用することです。年度によって処理がばらつくと、申告調整漏れや管理資料の不整合が生じやすくなります。

費用処理と資産計上のどちらを採用する場合でも、税務上、一括償却資産として処理するのであれば、法人税申告で3年間の均等損金算入を適切に反映することが重要です。

特に、取得時に費用処理している場合、会計データだけを見ると全額が費用化されているように見えます。そのため、税理士を始めとした申告担当者側で一括償却資産として把握できなければ、申告調整が漏れる可能性があります。

実務上は、次の情報を顧問税理士や申告担当者に共有あるいは参照が出来るようにすることをお勧めします。

  • 取得日
  • 資産の内容
  • 取得価額
  • 会計上の勘定科目
  • 費用処理か資産計上か
  • 一括償却資産として申告する資産である旨

会計処理自体はどちらの方法でも実務上あり得ますが、申告時に必要な情報が整理されていないと、正しい税務処理につながりません。


一括償却資産について、固定資産台帳への登録が常に必須というわけではありません。

取得時に費用処理している場合、会計上は貸借対照表に固定資産として残高が残りません。そのため、資産計上する方法に比べ、固定資産台帳に登録する理由は乏しくなります。ただし、申告情報を管理するために、固定資産台帳へ登録する運用も考えられます。

一方、資産計上する場合には、固定資産台帳と会計上の数値を整合させることができるため、固定資産台帳への登録をお勧めします。ただし、この場合であっても固定資産台帳への登録が必須とまではいえません。

固定資産台帳に登録しない場合でも、最低限、一括償却資産の計上年度別に金額を把握できるようにしておく必要があります。一括償却資産は3年間で均等に損金算入するため、どの年度にいくら取得したかが分からないと、申告時に損金算入額を正しく計算できないためです。

また、一度決めた管理方針は継続することが大切です。ある年度は固定資産台帳で管理し、別の年度は表計算ソフトで管理する、といった運用をすると、申告時に混乱する可能性があります。

固定資産台帳に登録する場合に特に注意すべきなのが、償却資産申告です。

一括償却資産として3年間で損金算入する資産は、通常、固定資産税の償却資産申告の対象外となります。そのため、固定資産台帳に登録する場合には、償却資産税の申告対象に含めないよう区分管理しておく必要があります。

特に、勘定科目を工具器具備品等の通常の固定資産科目に揃えている場合には、一括償却資産であることが分かりにくくなるため、誤って償却資産申告に含めてしまう可能性があります。

多くの固定資産管理システムは「一括償却資産」という区分を用意してくれています。
そのため、固定資産管理システムへの登録時、「一括償却資産」という資産区分を使用する。あるいは償却資産申告対象外の設定を行う、申告前に申告担当者と台帳を確認するなどの対応をお勧めします。


一括償却資産は、実務上、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産について検討されることが多く、税務上は3年間で均等に損金算入する制度です。取得時の会計処理としては、消耗品費などで費用処理する方法も、固定資産又は一括償却資産として資産計上する方法も考えられます。

費用処理する場合は申告調整の対象を把握しておく必要があり、資産計上する場合は固定資産台帳で管理することで貸借対照表残高との整合性を確認しやすくなります。ただし、固定資産台帳に登録する場合には、償却資産申告に誤って含めないよう注意が必要です。

最後までお読みいただきありがとうございました。本コラムが、一括償却資産の会計処理や固定資産台帳登録で迷った際の実務整理に役立てば幸いです。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。


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