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2025年02月21日
企業会計-COLUMN-

とりあえず50%貸倒引当金計上は間違い? 50%引当の考え方と財務内容評価法簡便法の適用条件について

2025年2月21日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

 

1.はじめに

財政状態の悪化や長期滞留、条件緩和などがあった場合、貸倒引当金を個別に計上しなければならなくなる可能性があります。このような場合、実務上、「とりあえず50%引当金を計上しておく」ということが行われることがあります。
本コラムでは、実務上広く行われている会計処理をその背景にある理論に照らして解説することを目的としています。今回は、貸倒引当金の50%引当ルールの考え方と、本来の条件について解説します。


2.個別引当金が必要な場合

まず一般事業会社では債権を三段階に区分し評価を行います。債権の評価は貸倒引当金を計上することによって行われますので、この債権区分によって評価方法が変わるというわけです。
このうち、経営状態に問題の起きていない債権は一般債権と呼ばれ、同じ区分の債権をまとめて評価します。
しかし、経営状態の悪化などにより一般債権から他の債権区分に変わる(落ちる)と、個社別に引当金の計算が必要になる個別引当が求められることになります。

債権区分が変わる(悪化する)条件やトリガーとして、以下のようなことが挙げられます。

  • 債務者の財政状態の悪化
  • 債権の長期滞留
  • 条件緩和(回収期限の延期や利息の減免など)

個別引当金が必要な一般債権以外の債権区分は、「貸倒懸念債権」と「破産更生債権等」が存在します。


3.会計基準(実務指針等含む)上の取扱い

前述の「貸倒懸念債権」と「破産更生債権等」では、それぞれ以下のように貸倒引当金及び計算方法が定められています。

(1) 貸倒懸念債権 財務内容評価法、キャッシュ・フロー見積法
(2) 破産更生債権等 財務内容評価法

実務上、まず暫定的に50%を引当金とする方法(以下50%引当ルールという)は、上記の財務内容評価法の簡便法に位置づけられています。この方法が認められている理由は、一般事業会社においては、債務者の支払能力を判断する資料をすぐさま入手することが困難なケースもあるためです。

なお、50%引当ルールを適用する場合、担保の処分見込額及び保証による回収見込額を控除した残額の50%に対して引当金を計上します。


4.50%引当ルールを適用するための条件

それでは簡便法として認められる50%引当ルールですが、無制限に適用できるかというとそうではありません。50%引当ルールは債権区分を判定するためにすぐさま情報を入手することが出来ない場合に配慮した方法であるため、以下のような条件が求められています。

(1) 初めて債権区分が貸倒懸念債権と認定した年度(破産更生債権には適用できない)
(2) 次年度以降においても引当金額は毎期見直しが必要
(3) 重要性の高い貸倒懸念債権ではないこと


5.終わりに

個別貸倒引当金の計上において、50%引当ルールは幅広く利用されています。
ただし、破産更生債権等では利用できないことや、財務内容評価法の簡便法であること、一度50%引当を行えば終わりではなく、次年度以降見直しが求められていることはご存知でない方もいらっしゃったのではないでしょうか。
簡便法は実務上の助けになってくれることは間違いありませんが、多くの場合適用には条件が設けられています。この条件などを理解しておくことは非常に重要ですので、これらの理解に役立てられれば幸いです。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。


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初回ご相談時に報酬は頂いておりませんので、お気軽にお問い合わせください。

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