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2026年05月07日
税務会計-COLUMN-

海外送金手数料は不課税?非課税? 外国為替業務における課税区分の整理

2026年4月6日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

海外送金手数料や外貨両替手数料など、「海外」と名前が付く支払について、消費税区分を「海外の取引だから不課税(対象外)」と思われることはないでしょうか。仕訳計上時の消費税の課税区分選択で迷った結果、とりあえず「対象外」にしてしまっているケースも少なくないでしょう。

しかし、海外関連手数料は「外国為替業務」に該当する金融取引に該当する可能性があり、「不課税」ではなく「非課税」とするのが適当な場合があります。実は万が一誤っていたとしても、消費税計算上は結果として影響が生じない場面が多いのですが、海外送金手数料等について本来どのように処理するのかを確認することを目的として整理していきます。


課税取引は、国内で対価を得て行う資産の譲渡や役務提供などが対象となります。商品販売やコンサルティング料、国内の振込手数料などが典型的な例です。

非課税取引は、本来であれば課税の対象となるはずの取引のうち、税の性格や社会政策上の配慮から、法律で例外的に税率をゼロとする取引をいいます。土地の貸付や住宅家賃、預金利息、保険料、そして金融取引の一つである外国為替業務などもここに含まれます。

一方、不課税取引は、消費税の課税対象となる取引の範囲には含まれないものが該当します。補助金や出資、給与の支払い、法人税などの税金の支払いなど、対価性がないものや、そもそも国内取引にあたらないものが該当します。

消費税は日本国内での消費に課税される税金ですので、海外で消費されたモノやサービスには課税されません。
その背景から、海外送金手数料などは「海外」という言葉から不課税を連想しやすいものの、実態としては銀行が提供する金融サービスの一種です。本来は課税対象となる役務提供であるところ、法律の規定により非課税として取り扱われる、という理解が適切です。


外国為替業務は、外貨の売買や送金などを通じて資金の決済を行う金融取引の一種です。消費税法では、預金や貸付の利息と並んで、外国為替業務に係る役務の提供が非課税取引として列挙されています。

また通達では、非課税となる外国為替業務として、外国為替取引、対外支払手段の発行、対外支払手段や債権の売買などが具体的に示されています。銀行が行う海外送金は、まさに対外支払手段を用いた資金決済として、この外国為替業務に含まれるのが一般的です。

ここで重要なのは、「海外に関係するから不課税」ではなく、消費地がどこであるかです。
手数料自体は海外で消費されているわけではなく、本来は課税対象であるものの、非課税取引の対象として「外国為替業務に係る役務提供」として列挙されているというのが正しい整理となります。
このため、海外送金手数料等は「海外」という名称で課税区分を判断するのではなく、外国為替業務という金融取引に該当することを踏まえて非課税として処理することになります。


実務上、よく目にするのは、海外の取引先や海外子会社への支払いに伴う海外送金手数料でしょう。
これらの会計処理としては、例えば「支払手数料」や「支払銀行手数料」などの勘定科目を用い、消費税区分は「非課税仕入」として処理することになります。

同様に、次のような金融取引に関連する手数料も、通常は外国為替業務として非課税に区分されます。

  • トラベラーズチェックの発行手数料
  • 外貨両替時の為替手数料やスプレッド
  • 外貨建て送金に付随して銀行が収受する各種事務手数料

これらはいずれも、外貨による支払手段の提供や交換に関する金融取引であり、単純な国内サービスの提供とは性質が異なります。銀行明細や通帳では、他の「振込手数料(国内振込)」など課税取引と似たように表示されることもあるため、明細の名称だけではなく、海外送金や外貨両替に関連するものかどうかを意識して区分することも重要です。


ここまで、海外送金手数料等を非課税として取り扱う理由を説明してきましたが、実は仕入側(手数料を支払う側)の消費税計算構造に着目すると、「非課税仕入」と「不課税仕入」のいずれで処理しても計算結果は変わりません。

「非課税仕入」と「不課税仕入」はいずれも仕入税額控除の対象外(消費税のかかっていない取引)であり、どちらの区分で処理をしても控除計算に組み込まれる消費税額は変化しません。また、「非課税仕入」と「不課税仕入」は課税売上割合の算定にも影響を与えません。売上側(手数料を受け取る側)は二つの取扱いで課税売上割合の比率が変わることから影響を受けますが、世間一般の大半の企業は手数料を支払う側であると思います。

このように、仕入側の消費税計算構造に限れば、非課税と不課税を誤って処理しても消費税の計算結果が変わらないケースが多いため、もしも仮に誤って処理をしてしまった場合であっても、焦る必要はありません。


本コラムでは、海外送金手数料など、実務でよく出てくる外国為替関連の手数料について、「不課税」ではなく「非課税」と整理される理由と、実務上の考え方を確認しました。消費税の計算構造上、両者の区分誤りが消費税額そのものへ影響を与えるわけではないものの、取引の性質に沿った区分を意識しておくことは、経理実務の正確性を高めるうえで有用です。

日々の仕訳入力や決算整理の際に、本稿の内容が少しでも参考になれば幸いです。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。


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