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2025年02月17日
IPO-COLUMN-

【図解で解説】IPOにおけるシンジケートカバー取引とは? シンジケートカバー取引の仕組み、オーバーアロットメント、グリーンシューオプションとの関係

2025年2月17日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

 

1.はじめに

IPO(新規株式公開)においては様々な専門用語が出てきますが、実際に上場が近づくと耳にする用語として、「シンジケートカバー取引」というものがあります。これはオーバーアロットメントによる売出しとセットで出てくることになりますが、主幹事証券から説明は受けたが、上場する企業が直接取引を行うわけではないため、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
このシンジケートカバー取引は株価安定化のための重要な手続の一つですので、その概要や役割について解説します。


2.シンジケートカバー取引とは

シンジケートカバー取引は、オーバーアロットメントによる売出しの一環として行われる取引です。
オーバーアロットメントによる売出しが行われた場合、主幹事証券会社は大株主等から売出しのための株式を借り受けることとなります。
当然、借りた株式は返却をする必要があるのですが、この株式返却のために市場から株式を買い付ける取引のことをシンジケートカバー取引といいます。

オーバーアロットメントによる売出しと、シンジケートカバー取引の関係を図解すると以下のようになります。


3.シンジケートカバー取引の目的と効果

シンジケートカバー取引が行われる主な目的は、以下の通りです。

☑ 株価の安定化:
上場直後の株式価値は変動率(ボラティリティ)が高くなる傾向にあります。
市場価格が売出価格を下回った場合、主幹事証券会社がシンジケートカバー取引で株式を買い付けることとなるため、株価を下支えする効果が期待できます。

☑ 主幹事証券会社の利益確保:
市場価格が売出価格を下回る状況で株式を買い戻すことで、主幹事証券会社は差額分の利益を確保することができます。

借り受けた株式の取得方法は最終的に①市場から買い付ける(シンジケートカバー取引)、②株式を買い取る(グリーンシューオプションの行使)が存在します。
この内、①市場から買い付ける(シンジケートカバー取引)を選択するのは、売出価格よりも市場価格が低い場合に選択されることから、上記のような効果があるのです。


4.シンジケートカバー取引の実施期間

シンジケートカバー取引は無制限に行うことが出来るわけではなく、実行可能な期間が制限されています。具体的には、申込期間終了日の翌日から最長30日間の間に実施されます。
この期間内に、主幹事証券会社は市場での買い付けや、グリーンシューオプションの行使を通じて、借り入れた株式の返却を行います。


5.グリーンシューオプションとの関係

シンジケートカバー取引と関係の深いものとして、グリーンシューオプションが存在します。
このグリーンシューオプションは主幹事証券会社が大株主等から、引受価額で株式を取得できる権利をいいます。
主幹事証券が大株主等から借り受けた株式については、①市場から買い付ける、又は②株式を買い取る(又は新株を発行する)という大まかに二つの方法で返還することとなるのですが、①の場合がシンジケートカバー取引、②の場合にグリーンシューオプションの行使により実行されます。

この二つの方法のいずれを採用するかは、売出価格(※)と市場価格の関係によります。
市場価格が売出価格(※)を上回った場合、主幹事証券会社はこのオプションを行使し、株式を取得して返却します。一方、株価が下落した場合は、シンジケートカバー取引を通じて市場から安価に株式を買い付け、返却することが一般的です。

※厳密には、グリーンシューオプションの行使価格と比較することとなりますが、ここでは説明の便宜上、売出価格としています。


6.投資家への影響

シンジケートカバー取引は、主幹事証券会社の利益確保だけでなく、株価の下支え効果を通じて、投資家にとってもメリットがあります。しかし、市場価格はそれだけをもって動くわけではありませんので、確実に株価の下落を防げるというわけではありません。


7.終わりに

シンジケートカバー取引は、IPO後の株価安定化を目的とした重要な手法です。
証券会社が主導して取引を行うこととなるため、用語を聞いた覚えはあるものの、あまり気にしていなかったという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし上場準備にあたって証券会社は非常に重要な機関ですので、これらの仕組みを理解し上場に臨むことは大切です。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。

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