【図解で解説】IPOにおけるダイリューションとは? ダイリューションの意味とその影響
2025年3月30日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼
1.はじめに
資金調達の場面で耳にする「ダイリューション(dilution)」について、上場を目指すスタートアップ企業の資本政策と非常に繋がりの深い概念であると言えます。しかし、普段から使用する用語ではないため、その意義や影響について理解されていないことも多いのではないでしょうか。
このコラムでは、スタートアップ企業が資本政策を作成するにあたり、理解をしておきたいダイリューションの基本概念や影響について解説します。
2.ダイリューションとは
ダイリューション(dilution)とは和訳すると希薄化効果といいます。
具体的には、企業が新たに株式を発行することで、既存株主の持ち株比率が低下し、1株当たりの持ち分が薄まる現象を指します。ダイリューションは、増資などの資金調達を通じて発行済み株式総数が増加する際に発生します。
特に、資金調達において重要な要素であり、資金調達実行時に考慮すべき事項と言えます。
3.ダイリューションの影響
(1)企業への影響
新株発行により株式を発行した企業には資金が入ります。
これは新株発行を行う最大の目的と言って良いでしょう。特にベンチャー企業やスタートアップ企業と呼ばれる企業とっては事業運営、成長を促進するために不可欠なものです。
しかしその反面、新株発行により発行済み株式総数が増加することで、1株当たりの持ち分が減少することとなります。その結果、投資価値を示す純資産(BPS)や純利益(EPS)が低下する可能性があり、同時に株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などの指標にも影響を及ぼします。
(2)既存株主への影響
既存株主にとって、持ち株比率の低下は前述の価値下落の可能性と共に、企業の意思決定に対する影響力の減少を意味します。しかし、資金調達によって企業の財政状態は強化されるため、メリットとデメリットが混在することになります。
4.IPOにおけるダイリューション
上場準備(IPO)において、特にスタートアップ企業では事業成長のための資金を新株発行によって調達することは一般的です。そのため、多くのスタートアップ企業では上場までの過程及び上場時にダイリューションの発生は避けて通れません。
投資家サイドから見ても、上場準備企業において将来ダイリューションが起きることを当然理解しています。
そのため、上場準備における資本政策においては、ダイリューションを計算に入れたうえで投資家に利益をもたらすことが出来るかという点が重要なのです。そのためには、整合した事業計画と資本政策の作成は避けて通れません。
この各種計画を通じて、エクイティストーリーを明確化し、資金調達の目的や成長戦略を株主や投資家に理解してもらうことで、スタートアップ企業の価値を示し、信頼を構築することが重要なのです。
5.終わりに
ダイリューションは、特にスタートアップ企業の資金調達や成長戦略において避けられない側面がありますが、その影響を最小限に抑えるためには、適切な対策と透明性の高いコミュニケーションが重要です。企業は、既存株主の利益を守りながら成長を実現するために、バランスの取れた資本政策を構築する必要があります。
当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。
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