スタートアップ企業にとってのベンチャーキャピタル(VC) VCとの連携とIPOへの影響
2024年6月19日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼
1.はじめに
ベンチャーキャピタル(以下VCといいます)との連携は、多くのスタートアップ企業にとって、企業成長のために非常に重要です。特に、IPO(新規株式公開)を目指す企業にとって、VCからの支援は資金調達だけでなく、経営資源の確保やビジネス機会の獲得にも繋がるため、少数精鋭で立ち上げることの多いこれらの企業にとって、積極的に連携を図るのが良いでしょう。
本コラムでは、このようなVCとの連携がIPOに与える影響について詳しく解説したいと思います。
2.ベンチャーキャピタルの役割
VCは成長性の高い企業に投資する企業をいいます。VCの投資先は高リスク・高リターンになる傾向にあり、その多くは大きな成長が期待される未公開企業に投資します。
スタートアップ企業側からすると、現実的な資金調達方法として、最も有力な候補になると思います。自己資金やエンジェル投資家といった手段の利用は限界があり、銀行融資とスタートアップ企業との相性も良いとは言えませんので、銀行融資のみで必要な資金を賄いきれることは稀です。
3.経営支援とガバナンスの強化
VCは投資先企業の経営に深く関与することが多く、経営支援やガバナンスの強化にも繋がります。
例えば、社外役員の派遣等を通じた経営陣の強化や組織の再編、リスク管理の徹底などが挙げられます。
有能な人材を確保するということは存外難しく、外部のリソースをあてにできるというのは大きなメリットです。
4.顧客獲得・市場拡大
VCによって性格は異なりますが、顧客の紹介や情報提供を行ってくれるケースもあります。
こういった場合、VCのネットワークを活用することで、企業は新たなビジネスパートナーや顧客を獲得する機会を得ることが出来ます。特にIPO前には、信頼性のあるネットワークを通じて、投資かや市場関係者、支援者との関係を構築することにも寄与してくれます。
IPOには良質な利害関係者や従業員の獲得は非常に重要であり、これがIPO成功率を高めることに繋がります。
5.VCとの連携のリスクと課題
一方で、VCとの連携にはリスクや課題も存在します。
例えば、株主としてVC参画することにより、株主として発言権を持つことになりますので、意見調整や株主管理、定期報告などに工数を要します。中には意思決定がし辛くなったと感じるケースもあるかもしれません。
ただ、これは単純なデメリットというわけではなく、ガバナンスが効いていることの反面でもありますので、株式上場準備や上場後のための練習とも捉えることが出来ます。
6.まとめ
ベンチャーキャピタルとの連携は、IPOを目指すスタートアップ企業にとって、多くのメリットをもたらします。
対してリスクや課題も存在するものの、総じてメリットをデメリットが上回るケースが多いのではないでしょうか。
資金調達方法の限られた日本のスタートアップ界隈では、ベンチャーキャピタルの存在はスタートアップにとっては重要な存在といえるでしょう。
本コラムを通じて、VCとの連携がIPOに与える影響について理解を深め、より良い経営判断の一助となれば幸いです。
当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。