【図解で解説】IPOにおけるオーバーアロットメントによる売出しとは? オーバーアロットメント(OA)の仕組み、目的、メリットを図解で解説
2025年2月12日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼
1.はじめに
新規株式公開(IPO)時において、需要が募集又は売出しの予定数量を超える場合があります。このような場合、需要と供給のバランスを保つためオーバーアロットメントによる売出しがよく行われます。
本コラムでは、IPOにおいて耳にする「オーバーアロットメントによる売出し」という仕組みについて、概要、その目的と仕組み、さらには市場に与える影響について解説します。
2.オーバーアロットメントによる売出しの概要
(1)オーバーアロットメントによる売出しとは
オーバーアロットメントによる売出しとは、募集及び売出し予定の株式数を超える需要があった場合、主幹事証券が発行体の大株主等から株式を一時的に借りて追加で売出しを行うことをいいます。
要するに、市場に放出する予定株式数よりも買い注文が多く来てしまった場合、大株主から株式を借りてでも追加で売出しを行うための仕組みなのです。
借りた株式は市場から取得し返還(シンジケートカバー取引)するか、後述のグリーンシューオプションの実行により対象株式を買い取ることとなります。
なお、オーバーアロットメントの仕組みは新規上場時に限った話ではなく、既に上場している企業のPO(公募や売出し等)の際にも利用されます。
オーバーアロットメントの大まかな仕組みは以下の通りです。
(2)グリーンシューオプションとの関係
オーバーアロットメントによる売出を実行すると、主幹事証券は追加売出のために大株主から株式を借りることとなり、当然、借りた株式は返還をしなければなりません。この返還する株式は市場から取得することになりますが、上場後市場価格は変動するため、市場価格によってはオーバーアロットメントを実行した主幹事証券が損失を被ることになってしまうことになってしまうのです。
そのため、主幹事証券は株式を借りた大株主等から、引受価額と同一条件で株式を買い取ることが出来る権利をつけることになります(オプションを付与しないことも可能)。
これをグリーンシューオプション(ないしはオーバーアロットメントオプション)といいます。
3.オーバーアロットメントの目的とメリット
それでは、なぜ主幹事証券は大株主等から株式を借りてまで追加の売出しを行う必要があるのでしょうか。その最大の目的は、対象銘柄の需要が過熱し過ぎないように鎮静化を図ることにあります。
さらに、このオーバーアロットメントによる売出しには、各関係者にとってもメリットがあります。それぞれの関係者の立場から見たメリットは以下の通りです。
(1)投資家のメリット
募集、売出し予定数を超えた部分について、株式を取得できる機会を得ることが出来ます(オーバーアロットメントを行わなければ取得することが出来なかった株式を取得可能)。
(2)主幹事証券会社のメリット
主幹事証券から見た場合、オーバーアロットメントを行った分だけ引受株式数が増加することから、その分得られる引受手数料が増加します。
(3)発行体のメリット
発行体(この場合は新規上場をしようとする会社)は、引受手数料が増加し負担が増えることになってしまいデメリットがあるように感じますが、主幹事証券会社が需要を引き上げるよう行動してくれることにメリットがあります。
要するに、需要過多の状態の株式は株価にプレミアムが付きやすく、発行体の株価を引き上げる効果があるのです。
ただし、公開価格は一定であり、新規上場時の資金調達額が増加するわけではありませんので、これは間接的なメリットである点には注意が必要です。
4.終わりに
オーバーアロットメントによる売出しは、IPOにおいて需要と供給のバランスを保ちながら市場の安定性を確保するための重要な手段であり、多くの新規株式公開の際に利用されます。
ただ基本的に証券会社主導で行われるため、上場準備企業からしてみると「いつのまにか終わっていた」なんていうこともありますが、とても重要なことですので理解はしておきましょう。
こちらの記事がオーバーアロットメントによる売出しの理解の一助になれば幸いです。
当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。
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