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2024年02月21日
企業会計-REPORT-

【会計実務講座】リース会計 - 基礎編 - リース取引の分類と会計処理 簡便法の条件、所有権移転、移転外の違い

2024年2月21日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

 本稿ではリース取引の分類ごとに具的な会計処理を説明します。
 リース会計は分類ごとに会計処理が決まっており、かつ、会計処理も似通っていますので、少し混同しやすいところです。
1.所有権移転ファイナンス・リース取引
2.所有権移転外ファイナンス・リース取引
3.オペレーティング・リース取引
のいずれの会計処理にあたるのかを意識しながら理解いただくと良いと思います。

なお、本解説(本資料)は、2024年9月に企業会計基準委員会(ASBJ)より公表された企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」(いわゆる新リース会計基準)適用前の会計基準に基づいた内容となっております。


1.所有権移転ファイナンス・リース取引の会計処理

 所有権移転ファイナンス・リース取引については、原則として「売買処理」を行います。
「売買処理」とは、資金調達(リース債務による負債計上)をしたうえで、固定資産を取得(リース資産)したような処理を行うことをいいます。資金調達部分がファイナンスの性格を持つので、ファイナンス・リース取引と呼ばれています。ただし、簡便的に賃貸借処理をすることも認められています。
 所有権移転の場合では、①リース料総額が固定資産計上額以下、または、②リース期間が一年以内の場合には、賃貸借処理が可能です。
 正確に理解ができている場合には問題ありませんが、経験則上、ここでよく混同が見受けられます。所有権移転の場合、移転外と異なりリース料総額が300万円以下であったとしても簡便法は認められていませんので注意が必要です。所有権移転外の場合と、賃貸借処理が可能な条件が異なりますので注意しましょう。

売買処理の場合について、「(1)リース契約時」、「(2)リース料支払時」、「(3)減価償却時」の3つに分けて会計処理を説明します。なお、リース会計は貸手、借手両方に適用されるものですが、本稿では説明の便宜上、借手の会計処理の説明を行っています。

(1)リース契約時

( リ ー ス 資 産 ) / ( リ ー ス 債 務 )

 仕訳は上記の通りですが、その金額が算定方法が難しいところです。
 この具体的な金額の算定方法について、貸手の購入価額が分かるか否かで採用する金額が変わります。貸手の購入価額が分からない場合には、どのように見積もるかを検討する必要があります。

 例えば、新品の自動車のように通常の購入価額がある程度一般公開されており、自社で見積ることが可能なケースもありますが、業務用の機械や建物など個別性の高いものなど、購入価額が公開されていないことの方が多いでしょう。そのような場合、別途業者から見積もりを入手するなどの方法を検討しなければなりません。

貸手の購入価額が明らか   
Yes:「リース料の現在価値」と「貸手の購入価額等」とのいずれか低い額
No:「リース料の現在価値」と「見積現金購入価額」とのいずれか低い額 

(2)リース料支払時

       ( リ ー ス 債 務 ) / ( 現 金 預 金 )   
       ( 支 払 利 息 )                 

利息の配分方法:利息法のみ
⇒後述の所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合には、重要性を加味したうえで、簡便な方法を選択できますが、所有権移転ファイナンス・リース取引では、利息法しか選択することができません。

(3)減価償却時

( 減 価 償 却 費 ) / ( リ ー ス 資 産 )

減価償却の方法:自己所有の固定資産と同様の方法(耐用年数、償却方法)


2.所有権移転外ファイナンス・リース取引の会計処理

 所有権移転外ファイナンス・リース取引についても、「売買処理」が原則的な方法となります。
 ただし、①リース料総額が固定資産計上額以下、②リース期間が一年以内、③事業内容として重要でなく、契約一件あたりのリース料総額が300万円以下のリース取引は賃貸借処理が可能です。
この、「③300万円以下のリース取引」で簡便法が認められるのは有名ですが、適用できるのは所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合のみです。混同しやすいので注意しましょう。

 なお、この300万円以下というのは、リース契約一件あたりで判定します。例えば、リース料総額が180万円のリース取引と、170万円のリース取引をまとめて一つの契約にする場合には簡便法は使えません。通常、固定資産を取得した際の即時費用処理の判定は一件あたりで行うのに対し、リースの場合は契約単位で検討が必要な点も混同しやすい部分です。

以下、売買処理を行う場合の会計処理をまとめます。
簡便法である賃貸借処理を行う場合、オペレーティング・リース取引同様、リース料支払時に(支払リース料などの費用科目)/(普通預金等)の会計処理を行うこととなります。

(1)リース契約時

( リ ー ス 資 産 ) / ( リ ー ス 債 務 )

リース資産計上額は貸手の購入価額が分かるか否かで採用する金額が変わります。この点は所有権移転ファイナンス・リース取引と変わりません。

貸手の購入価額が明らか   
Yes:「リース料の現在価値」と「貸手の購入価額等」とのいずれか低い額
No:「リース料の現在価値」と「見積現金購入価額」とのいずれか低い額 

(2)リース料支払時

       ( リ ー ス 債 務 ) / ( 現 金 預 金 )
       ( 支 払 利 息 )                 

 利息の配分方法:利息法又は重要性が乏しい場合には以下いずれかの方法を選択可能です。
 以下の簡便法は所有権移転外ファイナンス・リースにのみ認められる方法です(所有権移転・ファイナンス・リースでは採用できません)。

①利息相当額を控除しない
②利息相当額の配分を定額法による

(3)減価償却時

( 減 価 償 却 費 ) / ( リ ー ス 資 産 )

 減価償却の方法:リース期間を耐用年数とした以下いずれかの方法
 利息法の簡便法と異なり、減価償却の方法は所有権移転ファイナンス・リースと同じ方法を採用することはできません(通常取得した固定資産と同じ方法を採用することは出来ない)。

①定額法(多くの場合がこの方法)
②級数法
③生産高比例法

少々ややこしいため、所有権移転ファイナンス・リースと、所有権移転外ファイナンス・リースの会計処理方法をまとめると以下のようになります。所有権移転の場合の方が原則的な処理を求められ、所有権移転外の場合は簡便法が用意されているという関係にあります。


3.オペレーティング・リース取引の会計処理

オペレーティング・リース取引については、「賃貸借処理」を行います。
オペレーティング・リース取引の会計処理は、最もシンプル(簡易的)な方法といえるでしょう。

(1)リース契約時

仕訳なし
(賃貸借処理では計上する仕訳はない)

(2)リース料支払時

( 支払リース料等の費用科目 ) / ( 普通預金 等 )

(3)減価償却時

仕訳なし
(賃貸借処理では計上する仕訳はない)

リース会計は、契約の内容や実態に応じて複数のカテゴリーに区分され、それぞれで認識・測定・開示の方法が大きく異なるため、分類の段階から会計処理の検討に至るまで混同が生じやすい分野です。したがって、ファイナンス・リースとオペレーティング・リース、借手会計と貸手会計といった各分類の趣旨と判定基準を明確に意識することが、取引ごとの会計処理の違いを正しく理解し、実務判断の誤りを防ぐうえでの重要なポイントとなります。


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