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2023年12月08日
企業会計-REPORT-

固定資産の取得及び除売却 少額減価償却資産や一括償却資産など10万円、20万円、30万円の判定基準について

2023年12月8日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

1.固定資産取得の実務上の取り扱いについて

有形固定資産及び無形固定資産は、その名の通り支出時に資産計上を行い、耐用年数に渡って減価償却行うことで費用化されます(一部土地など減価償却を行わない資産も存在します)。
これらの固定資産は長期間使用することを前提としていますが、長期使用できるからといって全てが固定資産となるわけでばありません。長期間利用できるものであっても、消耗品費等として費用計上するものがあります。

それでは、消耗品と固定資産の境はどこにあるのでしょうか。
特に重要な判断基準として、実務上は資産の金額(取得価額)に重きが置かれています。固定資産計上の要否は主に金額ベースで判定することとなり、その具体的な金額基準は通常税務に従うこととなります。

【参考】固定資産計上の金額基準まとめ

税務上の取り扱いによれば、会社規模によって採用できる方法が変わりますので、まずは中小企業者に該当するか否かを確認しましょう。
次に、支出金額で会計処理が分かれます。基準となるのは10万円、20万円、30万円で、この金額を基準に会計処理が変化します。
これは一枚あたりの請求書で判定するのではなく、取得した資産の一個当たりの金額で判定をすることにも留意が必要です。
さらに、どの方法で処理をするかによって償却資産税の対象となるかどうかが変わります。
減価償却資産(通常の固定資産)が償却資産税の対象になるのは当然ですが、中小企業者が少額減価償却資産として一括費用処理(償却)をしている資産も償却資産税の対象になることは特に注意が必要です。

(1)減価償却費の実務上の取り扱いについて

減価償却の方法については、減価償却の方法は大きく、定額法、定率法があり、資産の種類にもよりますが、原則として会社が選択することが出来ます。
その他、生産高比例法など、特殊な減価償却方法はありますが、適用されるケースが少ないため本稿では説明を割愛します。
また、会計全般にいえることでありますが、一度選択した方法はみだりに変更することは出来ません。

(2)耐用年数について

減価償却を行う期間を耐用年数と呼び、本来耐用年数は資産の使用期間が使われるべきですが、資産の使用期間は会社や使用目的によって異なり、極端な話、同じ資産を同じ環境で使っても使用期間は異なる可能性があります。
それでは個別の使用期間(経済的耐用年数という)を見積もることが出来るかというと、非常に煩雑であり、さらに恣意性が含まれてしまうため、実務上は税務に従い一定の処理をするのが一般的です。
具体的には、税務上資産の種類、区分ごとに耐用年数が定められた耐用年数表があるため、これに照らして耐用年数を判定することとなります。
なお税務に従う関係上、税法の改正に伴い償却率などの変更が行われると、資産の取得年度によってその計算方法が少しずつ変化している点には留意が必要です。

2.固定資産の除売却について

固定資産は取得から保有・使用を経て、最終的にはどのような資産も廃棄、除売却に行き着きます。
具体的には、固定資産の使用をやめる(除却)、売る(売却)、捨てる(廃棄)が行われることで、帳簿上計上された固定資産を除外する処理が必要となります。
除却や廃棄の場合には帳簿価額が損失として処理されることとなりますが、売却の場合には売却金額と帳簿価額との差額を売却損益を計上することとなります。

【参考】固定資産のライフサイクル

(1)固定資産の除却、廃棄について

固定資産の対象は幅広いため、会計処理を行う部署(以下経理部門という)経理部門などで使用されるものもありますが、それ以外にも現場で使用するものが多く存在します。
業種によりますが、例えば製造業などであれば、現場で使用する固定資産の方が主な資産となると思います。
経理部門と固定資産の存在する場所が離れることで問題となるのが、現物を確認出来ない資産の除却や廃棄が行われたとしても、経理部門が固定資産がまだ存在すると誤認してしまうことです。除却、廃棄を認識できなければ、会計処理を行うことも出来ません。
後述の実査をしてみた結果、帳簿上計上されている資産が既に存在しなかったということは珍しくありません。
このような問題を避けるためにも、経理部門に除売却に関する情報を伝達する必要があり、例えば、稟議制度などの報告体制を利用することが考えられます。

【補足】

(2)固定資産の実査について

固定資産が実際に存在するか確認する実査についても、除却、廃棄された資産を把握する有用な手続です。
報告体制を整えるのも大事ですが、もしも報告が漏れてしまった場合、結果として会計処理が漏れてしまうこととなります。
その点、固定資産の現物が存在するかを実際に現地で確認していれば、少なくとも実査時点では除却(廃棄)の処理が可能となります。

補足ですが、固定資産実査は12月に行われることが多いのですが、その理由は、償却資産税の対象となる資産の判定が1月1日時点で所有している資産であるためで、既に除却、廃棄した資産を申告対象から除外するためという側面があります。
逆にいえば、固定資産実査をしない場合、存在しない資産まで償却資産税の対象として申告してしまう可能性があるということです。

(3)固定資産の計上単位について

固定資産を計上する場合、計上単位も問題となることがあります。
例えば、生産設備の一部分のみを廃棄するという場合はよくありますが、固定資産の計上をまとめて「生産設備一式」としていると、具体的な除却(廃棄)部分の判定が困難、ないしは煩雑になってしまいます。
そのため、固定資産計上を行う際には、なるべく除却や取替投資を行う単位で行うことを意識するのが良いです。ただし、これについては購入先から提示される請求書等にも依存するため、細分化するにあたっての限界はある点には注意しましょう。

このように、固定資産は帳簿上の記録と、現物が乖離しやすい性質があります。
自社でもいつの間にか齟齬が起きている可能性がありますので、一度自社の状況を確認してみると良いかもしれません。

本講座の概要をまとめた資料はこちらになります 

当コラムの意見にあたる部分は個人的な見解を含んでおります点にご留意ください

 

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