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2025年12月05日
企業会計-REPORT-

在外子会社の取扱い -子会社決算書の換算方法と為替換算調整勘定の発生メカニズムー

2025年12月5日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

海外に存在する子会社(在外子会社)においては通常、現地の通貨単位で会計処理を行い、決算書も現地通貨によって作成されます。ある意味当然の話ですが、親会社が連結財務諸表を作成する場合には通貨単位を統一し、円貨で作成することとなります。
当然異なる通貨をそのまま連結することは出来ず、換算が必要となりますが、この適用すべき為替相場は全ての勘定科目に対して一律に同じ相場が適用されるわけではありません。今回はこの在外子会社の換算の実務を解説します。


1.適用される三種類の為替相場

現地通貨で記録された取引は連結する際に換算を行う必要がありますが、一口に為替相場といっても相場は常に変動しています。
いずれの為替相場を用いるかによって決算数値は変わることになりその影響も小さくありません。適用される為替相場には、複数の種類が存在し、それぞれの勘定科目や元となる取引の性質に応じて適用すべき為替相場が変わります。
この会計上採用すべき為替相場は大きく分けて以下3種類が存在します。

(1)各決算時の為替相場(CR:Current Rate)

決算日時点(期末)の為替相場を指します。
「Current Rate」とも言い、実務上はCRと略されることが多いです。

(2)期中平均相場(AR:Average Rate)

一定期間の平均為替相場を指します。
「Average Rate」とも言い、実務上はARと略されます。
平均期間をどのように区切るかで、月次平均や四半期平均、年次平均が存在します。

(3)取引発生時の為替相場(HR:Historical Rate)

取引が発生した時点の為替相場を指します。
「Historical Rate」とも言い、実務上はHRと略されます。


2.主要な財務諸表項目の換算方法

いずれの為替相場を使用するかは各勘定科目の性質によって決まります。それぞれの科目で採用すべき為替相場は以下の通りです。

(1)資産・負債の換算

資産および負債は、原則として決算日の為替相場(CR)で換算します。流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、いずれの科目においてもCRを採用します。結果、貸借対照表項目の大部分はCR換算されることとなります。

(2)収益・費用の換算

損益計算書項目(収益、費用)については、期中の平均相場(AR)で換算します。
収益及び、費用が両方とも平均相場(AR)で換算されるということは、必然的に当期純利益もAR換算されるという点は後述する為替換算調整勘定を理解する上でも非常に重要です。

(3)純資産の換算

純資産の部はその内容によって適用すべき為替相場が異なります。
在外子会社の為替換算において最も複雑で重要な分野です。

親会社による株式取得時の資本項目 HR(支配権獲得日(連結時)の為替相場)
当期純利益 AR(支配権獲得日以降、各会計年度のARを使用する)
配当金 HR(配当時の為替相場)
評価・換算差額等 CR(基本的に決算時の為替相場を用いる)


3. 為替換算調整勘定の概要

資産・負債を決算時の為替相場(CR)で換算する一方、純資産の換算には決算時の為替相場(CR)以外の為替相場も使用します。
すると換算レートの違いから貸借対照表上貸借差額が発生してしまいますが、会計上「借方」と「貸方」は一致しているのが大原則です。この際、貸借差額を調整するために、「為替換算調整勘定」が出てきます。

(1)為替換算調整勘定の発生メカニズム

前述の通り、全ての科目を単一の相場で換算すれば「借方」と「貸方」は一致したまま円貨に変換することが出来ますが、科目ごとに異なる相場で換算すると、外貨ベースでは貸借一致していた貸借対照表が、円貨ベースでは一致しなくなります。
この貸借差額を調整するのが、「為替換算調整勘定」です。

(2)貸借対照表上の表示

為替換算調整勘定は純資産の部に計上します。
損益計算書は通さず純資産に直接計上され、その他の包括利益として開示することが求められています。

貸借対照表、損益計算書の各勘定科目の換算レートと、為替換算調整勘定の発生メカニズムをまとめた概要図は以下の通りです。

本講座の概要をまとめた資料はこちらになります。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。


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