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2023年12月13日
企業会計-REPORT-

建設仮勘定とは 減価償却、償却資産税(固定資産税)との関係、消費税(課税区分)の取扱い

2023年12月13日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

1.建設仮勘定の意味と範囲

固定資産を取得する場合、対価を払えばその場で現物を受け取れるものばかりではありません。建物などのように、時間をかけて固定資産を製作する場合もあり、そのような場合、対象物の引き渡し前に建築中のコストが発生し、その負担が必要になることがあります。
このような途中の状態で発生した原価(費用)や支払を処理するための勘定科目が建設仮勘定となります。

(1)建設仮勘定とは

建設仮勘定とは、建設途中に充当された材料費などのことをいいます。
基本的に建設仮勘定は一時的な勘定科目であり、対象資産の完成後は本来の勘定(本勘定と呼ばれる)に振り替えられます。
なお、建設仮勘定の状態では減価償却は行いません。後述しますが、減価償却は使用開始(事業の用に供した日)以降に開始します。

(2)建設仮勘定の範囲について

建設仮勘定となるものは、未完成の有形固定資産に関する支出などです。
勘定科目単位では、建物、建物付属設備、機械装置、工具器具備品、船舶、車両運搬具、土地等が対象となっており、建物だけが対象となるわけではありません。
機械装置なども完成までに時間がかかるような場合には、建設仮勘定として計上する可能性があります。中には土地も含まれていることに注意が必要です。

有形固定資産については前述の通りですが、無形固定資産の中にも完成までに時間の掛かる資産はあります。
特に、ソフトウェアは開発に時間を要することも多く、開発中のソフトウェアに関する支出は、ソフトウェア仮勘定という勘定科目を使用します。

(3)建設仮勘定の管理方法について

建設仮勘定は会計上伝票を計上しておけば十分といえるでしょうか。
筆者の経験則によりますが、実は建設仮勘定の情報管理が不足しているケースは意外と多いです。

会計システムのみで建設仮勘定を管理をする場合、補助元帳などで内訳を作成していないと、合計残高しか分からなくなってしまうケースがあります。そのようなケースでは、対象資産が完成した際、過去の仕訳を遡って個々の資産の金額の集計や、勘定科目の検討を行わなければならなくなってしまうのです。

特に大型物件では、一つの契約の中で建物附属設備や構築物といった勘定科目が複数に分かれることも珍しくなく、さらには同じ勘定科目でも計上単位が異なることもあります。
例えば、建物の本体工事と、電気設備工事と給排水設備工事が同一契約で行われるような場合です。
そのようなことまで考えれば、本勘定に振り替えるタイミングで調査・整理を行うのは非常に煩雑であり、支出時に整理をしておくことが良いでしょう。

2.固定資産計上までの3段階のステップ

固定資産を取得する際の会計処理は大きく、(1)未完成の状態、(2)完成した状態、(3)使用開始の状態の3段階で処理が変わります。
本稿のテーマである建設仮勘定は(1)の段階で使用する勘定科目です。

この段階ごとに消費税や固定資産税(償却資産税)などの各種税金の取り扱いも変わるため、その点についても注意が必要です。
中でも消費税については、①手付金などの前払金に近い性格のもの(以下、前払金等という)、②設計料や建築資材のように購入ないし役務提供が完了しているもの(以下、購入済等という)の性格によって取扱いが異なります。

(1)対象資産が未完成(未完成の状態)の段階

前述の通り、固定資産が完成するまで、建設仮勘定として計上します。

消費税    :原則… 前払金等⇒未計上、購入済等⇒課税仕入
:例外… 前払金等⇒未計上、購入済等⇒未計上 
固定資産税 :対象外

(2)対象資産が完成(完成した状態)した段階

完成時点で本来の勘定(本勘定)に振り替えます。

消費税    :原則… 前払金等⇒課税仕入、購入済等⇒未計上(既に計上済み)
:例外… 前払金等⇒課税仕入、購入済等⇒課税仕入
固定資産税 :対象(事業の用に供することが出来る状態で対象となる)

(3)事業共用を開始(使用開始した状態)した段階

事業共用段階(固定資産の使用を始めること)では減価償却費が始まります。
実務上、完成と事業共用開始を明確に区別していないケースも見受けられますが、この二つは厳密には異なるものです。
例えば、建物は完成したが使用者がまた異動出来ておらず、建物を使用していないような場合、本勘定へ振り替えは行いますが減価償却は開始しません。
減価償却は対象資産を使うことで発生するものと考えると良いかもしれません。

【参考】建設仮勘定と各種税金の関係

消費税の例外処理は、実務上の管理の煩雑さを避ける目的があります。
もしも建設仮勘定をその性格ごとに処理をしている場合には、非常に管理が行き届いた会社です。

これらを区分していない場合には、固定資産完成時にまとめて課税仕入とする例外処理を採用することとなります。
反対に、建設仮勘定に関する支出を全て支出時に課税仕入としている場合には、本来課税仕入処理できないものが含まれている可能性があるのです。

本講座の概要をまとめた資料はこちらになります 

当コラムの意見にあたる部分は個人的な見解を含んでおります点にご留意ください

 

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