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2023年12月12日
企業会計-REPORT-

資本的支出と収益的支出 経費と資産計上の判定 修繕費

2023年12月12日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

1.資本的支出・収益的支出とは

通常の固定資産は取得してから使用や時間の経過によって経年劣化するため、メンテナンスや修理等が必要となります。
その際に発生するメンテナンスや修理に関する支出は費用(修繕費等)となりますが、機能や耐用年数が向上している場合、新たに固定資産として計上しなければならないケースもあります。この費用として処理するものが収益的支出となり、資産として処理するものが資本的支出と呼ばれます。

収益的支出は修繕費として処理されているケースが多いと思いますので、専門用語が分かりにくい場合は収益的支出は「修繕費」と読み替えましょう。逆に資本的支出は「固定資産」と読み替えて問題ありません。

(1)資本的支出とは

資本的支出とは、既存の固定資産に対する支出の内、対象資産の価値や耐用年数を向上させるものをいいます。
資本的支出部分に該当する場合は、固定資産計上をすることとなります。
では機能の向上はいつと比べて向上したというのでしょうか。修理直前の機能が低下した状態と比べるのであれば、全て資本的支出となってしまいます。
結論、比較をすべきは対象資産を取得した時点の状態と比較します。元々購入した時から考えて、機能や耐用年数が向上しているかを比べてみましょう。
また、新たに資産計上した固定資産の減価償却についても補足します。
税務上の取り扱いによれば、資本的支出部分は本体と同様の資産を新たに取得したものとして償却することを求めています。
要約すると、対象資産の耐用年数で固定資産を新規取得したような会計処理が必要となります。

(2)収益的支出とは

収益的支出とは、既存の固定資産に対する支出の内、維持管理や修復に関するものをいいます。
収益的支出部分に該当する場合は、費用処理をすることとなります。修繕費を想像してもらうと良いと思います。
固定資産の取得時点から経年劣化や故障により機能、価値が低下した部分を回復(原状復帰)させる支出が収益的支出となります。
例えば、外壁が老朽化により一部が欠けてしまった場合、欠けた一部を元に戻す場合は収益的支出となりますが、以前よりも強固な素材を使い外壁を強化するような場合は資本的支出となります。

2.資本的支出と収益的支出の判定について

(1)支出の実態把握について

資本的支出、収益的支出の意味は前述の通りですが、実務上その判断に迷うことは多いです。
例えば、経理部門が現場で使用している機械に関する請求書を受け取ったとして、それが部品交換のための支出か、それとも新たな機能を追加するための支出なのか、他に情報が無ければ判断することは難しいのではないでしょうか。同じ取引先からの請求書であったとしても、会計処理が異なる可能性もあります。
そのため、経理部門へ判断に必要な情報は共有することが望ましく、支出の目的や、現物の写真等を稟議書に記載したり、逆に経理部門から現場へ問い合わせを行うといった取り組みが求められます。

(2)税務上の判定基準について

固定資産に関しては税務の規定に従うことが多く、資本的支出と収益的支出の判定基準も示されています。
税務上の具体的な判定基準は以下の通りです。

【参考】資本的支出と収益的支出の判定フローチャート

ここでよく使う判定基準は、最初の判定基準である金額基準になります。
少額な支出まで判定をすることは実務上煩雑であり、20万円未満の支出は収益的支出として処理を認めるというものです。

最後に、この収益的支出、資本的支出はあくまで消費が行われた前提の話となります。例えば、一個50万円の取替部品を購入したとします。部品はこれまでと全く同じ物とし、機能の向上はありません。

その場合、この取替部品が対象の設備に使われたのであれば、収益的支出となります。
ですが、取替部品が新品のまま倉庫に置かれていたとしたらどうでしょうか。この場合は消費前の資産であるため、貯蔵品などの科目で資産として計上する必要があります。
これは収益的支出・資本的支出の判定とはまた別の次元の話ですが、請求書等を見れば会計処理が分かるわけではないという良い例になるのではないかと思います。

このように、固定資産に関しては使用する側の情報が多々必要になりますので、現場とのコミュニケ―ションは不足の無いようにしましょう。

本講座の概要をまとめた資料はこちらになります 

当コラムの意見にあたる部分は個人的な見解を含んでおります点にご留意ください

 

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