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2026年07月14日
企業会計-COLUMN-

新リース会計基準で「10%基準」は無くなる? 簡便的な取扱い(利子込み法、利子定額法)や注記について解説

2026年7月14日更新
上浦会計事務所
公認会計士・税理士 上浦 遼

2027年4月1日以後開始する事業年度より、原則として新リース会計基準(企業会計基準第34号等)が適用されます。多くの企業が対応準備を進める中、「旧基準にあった、有形固定資産等の10%未満であれば注記を省略できる基準は無くなるのか?」といった質問を受けることがあります。

ここで押さえておきたいのは、「10%」という基準は旧リース会計基準上、二つの面で使われていたということです。1つは簡便的な「会計処理」を選べるかどうかの判定であり、もう1つは「注記」を省略できるかどうかの判断です。両者は性質が異なるため、混同しないように注意が必要です。

本コラムでは、この2つを切り分けて解説します。なお、特に説明が無い限り借り手を前提とする文章としています。


旧基準において、未経過リース料の期末残高が有形固定資産等の期末残高の10%未満である場合に認められていた「支払利子込み法」などの簡便的な処理は、新リース会計基準においても「使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の取扱い」として引き継がれています。

そして、この判定基準は概念だけでなく、「10%未満」という数値基準のまま明示されています。
そのため、各社が独自に基準値を設定する性質のものではありません。また、これは会社のリース資産全体についての判定であり、個別の契約内容ごとに行う判定ではない点にも留意が必要です。

ちなみに、上記の重要性を判定するにあたり、少額リースや短期リースの取扱いにより簡便的に費用処理をしていリースについては、未経過リース料の残高から除きます。業務負担を減らすために簡便的な処理をしているのに、未経過リース料を計算すると本末転倒ですので、集計は不要と覚えておきましょう。

新基準において変わった点として、10%基準を判定する際の分母の計算方法があります。
新基準では、「未経過の借手のリース料の期末残高」が、「未経過の借手のリース料の期末残高、有形固定資産及び無形固定資産の期末残高の合計額」に占める割合が10パーセント未満である場合を「重要性が乏しい」と判断します。
無形固定資産が追加された理由は、新基準では無形固定資産のリースへの適用は任意とされているものの、無形固定資産のリース自体、会計基準の範囲に含まれているためです。

このように、「会計処理」を判定する10%基準は、数値(10%)はそのままに、分母に無形固定資産が加わったという整理であり、廃止されたり緩和されたりしたわけではありません。


使用権資産総額に重要性が乏しい(10%未満である)と認められた場合、実務上の負担を軽減するために以下のいずれかの方法を適用することができます。

借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除せず、使用権資産及びリース負債を借手のリース料総額で計上する方法です。この場合、支払利息は計上せず、減価償却費のみを計上します。

リース負債を現在価値で計上しつつ、利息相当額の総額を借手のリース期間中の各期に定額法により配分する方法です。原則である利息法を用いた複雑な計算を回避することができます。


冒頭の質問「注記省略の10%基準はどうなるのか」の本題はこちらです。注記の省略は、新基準では10%基準から切り離され、「重要性」に基づく判断に移行しています。

旧基準では、「1件あたり300万円以下の少額リースは注記を省略できる」といった、具体的な数値基準に基づく明確な注記省略の規定が存在ており、さらに10%基準は、未経過リース料の注記を省略してよいかどうかの判断も兼ねていました。しかし、新基準においては、このような具体的な数値を用いた一律の注記省略規定は設けられていません。

新基準では、注記事項全般について「開示目的に照らして重要性に乏しいと認められる注記事項については、記載しないことができる」と定められています。したがって、会計処理を判定する10%基準を満たしているからといって自動的に特定の注記が省略できるわけではなく、企業の財政状態や経営成績を理解する上でその情報が重要かどうかに基づいて、個社ごとに判断することになります。

言い換えると、注記の省略については「10%」といった具体的な数値基準は無くなり、「重要性」という実質的な基準と、それに基づく各社での個別の検討に置き換わったということになります。


新リース会計基準では、簡便的な「会計処理」を選ぶための10%基準は、数値(10%)も含めて存続し、判定の分母に無形固定資産が加わります。一方で、「注記の省略」については、数値による一律の規定が無くなり、「重要性」というに基づく各社ごとの判断が求められるようになります。自社のリース契約の状況に応じて、どのような開示が必要となるかを早期に検討することが重要です。

なお、本コラムでは、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から原則適用される、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」及びその適用指針等を新リース会計基準、企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」及びその適用指針等を旧リース会計基準と呼称しています。

当コラムの意見にあたる部分は、個人的な見解を含んでおります点にご留意ください。


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