会計・税務・IPO・M&Aの最新動向や実務上の疑問点を、専門家の視点から分かりやすく簡潔に回答します。
なお、これらの情報は、細心の注意を払い作成しておりますが、記載内容の正確性や完全性について保証するものではございません。また、置かれる状況は個人や企業ごとに異なりますので、全ての企業において普遍的に適用されないケースがございます。そのため、FAQの利用にあたっては、ご自身の判断と責任のもとに行って頂けますようお願い申し上げます。
必要です。
DCF法等のフロー項目に着目した評価方法によれば、貸借対照表情報の利用範囲は限定的ですが、貸借対照表は企業の財政状態を示す基本資料であり、純資産の状況や負債リスクを把握するための出発点となります。
これを適切に調査することで、現時点の対象企業の財政状態から見た株式価値、事業価値を把握することが出来ます。これは事業計画や損益計算書を検証しただけでは把握できない情報でであるといえます。
結果、適正な買収価格の算定や、調査を通じた潜在的なリスクの事前把握に貢献します。
なお、損益計算書の評価が重要ではないという訳ではありません。
M&Aは実行した時点で成功とはいえず、M&A後に相乗効果などを通じて成果をあげて初めて成功したといえます。
損益計算書は正常収益力の算定等、将来の価値を図るための出発点となります。
詳細は以下の記事で解説しております。
いいえ。
税制適格ストックオプションには付与対象者の要件があります。
原則として、発行会社または一定の子会社の役員または使用人等であることが必要です。一定割合以上の株式を保有する大株主は対象から除外されます(発行済株式の1/3超を保有する者)。また、近年の改正により、一定の要件を満たす社外高度人材についても、税制適格ストックオプションの付与対象とすることが認められています。
詳細は以下の記事で解説しております。
スタートアップ企業における税制適格ストックオプション 税制適格ストックオプションを発行する場合の企業、従業員双方の課税関係の整理
はい。
税制適格ストックオプションの権利行使価格にあたって使用する株式時価の算定において、売買実例がある場合であっても、一定の条件の下で特例方式(財産評価基本通達による算定)を選択することが認められています。
ただし、上場会社のように取引相場価格(市場価格)がある場合には、特例方式を採用することは出来ません。
詳細は以下の記事で解説しております。
【図解】税制適格ストックオプション要件である権利行使価額の株式時価算定方法 ストックオプションに対する課税(Q&A)で明確にされた特例方式について中心的に解説(令和6年度税制改正対応)
一般的にデューデリジェンスは基本合意書締結後から最終契約前までに実施されます。
案件によって前後する場合や、複数の分野のデューデリジェンスを行う場合もありますが、基本的には最終契約前に十分な調査を完了しておくことが必要です。
詳細は以下の記事で解説しております。
スタートアップ企業やベンチャー企業では、過去の実績ではなく将来性を重視する市場を目指すケースが多いです。
特に、東京証券取引所であればグロース市場を目指す企業が多く、市場として高い成長を目指す企業をメインターゲットとしていることから親和性も高いといえます。
他にも、企業の成長段階や事業特性によってスタンダード市場も選択肢に入るでしょう。プライム市場も不可能でもないものの、多くのスタートアップ企業にとっては敷居が高いものと思われます。
それ以外にも、TOKYO PRO Marketや、地方取引所にもベンチャー企業向けの市場が用意されていますので、広く企業にあった市場を検討すると良いでしょう。
詳細は以下の記事で解説しております。
税制非適格ストックオプションとは、税制適格要件を満たさないストックオプションを指します。
なお、税制適格となるストックオプションは、租税特別措置法に定められた「特定新株予約権」であり、ある意味、税制非適格ストックオプションの課税方法の方が通常であるともいえます。
税制適格要件は複数存在しますが、例えば「有利発行(行使価格が時価よりも低い)」の形式をとる場合、原則として適格要件を満たさないため、従業員等(ストックオプションを受け取った者)の税負担が大きくなる可能性があります。
なお、行使価格に対する関心が強いことがありますが、税制適格要件には他にも以下のような要件がありますので注意が必要です。それぞれさらに詳細な条件がありますが、ここでの解説は割愛します。
・権利行使価額が株式時価以上
・ストックオプションの発行価額が無償
・新株予約権が譲渡禁止
・付与対象者が発行企業の役員、従業員などの内部者(一部、社外高度専門人材も対象)
・株式事務代行機関等への保管委託(譲渡制限がある場合、発行会社管理も可能)
・権利行使期間の制限
・一年間の権利行使価額の合計額が一定金額以下
詳細は以下の記事で解説しております。
スタートアップ企業における税制非適格ストックオプション その1 無償発行且つ有利発行の場合における企業、従業員双方の課税関係の整理
一度付与された新株予約権については、原則として事前に契約で定められた条件が満たされている場合、発行体が一方的に行使を拒否することはできません。
後から想定していなかった事態にならないよう、発行時に行使制限条項や期間、条件等を丁寧に設計することが重要です。
税制適格ストックオプションは、権利行使時の課税が繰延べられ、株式譲渡時に譲渡所得として分離課税されます。
一方、税制非適格ストックオプションでは、権利行使時に給与所得として総合課税され、株式譲渡時に譲渡所得として分離課税されるという二段階に分けて課税されます。
これは非適格の場合、二倍課税されるという意味ではなく、権利行使時点でまず一度、権利行使価格と時価の差額に給与課税されるという意味なのですが、この一段階目の給与所得課税という点が非常に重要な意味を持ちます。
権利行使時に一度、給与所得課税されることの負担について、①ストックオプションに関する利益は大きくなりがちであるという点と、②実際に株式を売却するまで金銭は得られないという二つの面があります。
①について、譲渡所得であれば分離課税20.315%に対して、給与所得は最大55%までに上る可能性があります。所得金額が少なければ負担率の関係は逆転する可能性もありますが、ストックオプションから得られる利益は金額が大きくなりがちであり、税制非適格では税負担が増加する可能性が高いといえます。
②について、権利行使時点はまだ株式を取得しただけであり、権利行使者はまだ金銭を得ていないにも関わらず、税金を負担しなければならない可能性があります。
このような理由から、税制適格ストックオプションが税負担を抑えやすいとされています。
M&Aの調査にあたり重要でない勘定科目はありません。
不動産評価や、税金対策で契約している生命保険、税効果の影響など、共通して課題に挙がりやすく、金額的にも大きくなりがちなポイントは存在するものの、全ての勘定科目にリスクは存在します。
貸借対照表に計上されていない簿外債務や簿外資産にも注意が必要であり、企業の伝票起票には癖のようなものがあることから例え自社と全く同じ勘定科目であったとしても中身は全く違うといったこともあり得ます。
先入観を持った調査や、画一的な調査は後々想定外の結果を招いてしまうこともありますので、なるべく専門家に調査を依頼することをお勧めします。
それでもなお、社内リソースで企業調査を実施する場合、以下の記事で貸借対照表で注意が必要な点を解説しておりますのでご参照下さい。
発行体企業を退職した場合、ストックオプションが失効するか否かは契約条件によって変わります。
べスティング条項がついている場合、退職時にべスティング済みの部分が失効するか否かも契約条件次第であり、大きく、①べスティング済みの部分も含め全ての権利が失効するケース、②べスティング済み部分の権利は退職後も保有、行使可能とするケースに分かれます。
ただし、退職時に未行使の権利が失効する旨の条項を設けるケースが多く、このような条件がある場合には、退職時点でまだ権利が確定していないストックオプションは失効することになります。